商品券の電子化は自治体業務をどう効率化するのか? 制度・運用の要点とKPIで解説

商品券の電子化は自治体業務をどう効率化するのか? 制度・運用の要点とKPIで解説

制度整備と行政のデジタル推進により、電子商品券は監査要件に適合しつつ効率化を実現しやすい環境が整いつつあります。電子化によって、発行・配布、加盟店精算、監査対応、問い合わせ対応、そしてコスト構造の面で明確な改善が期待できます。

今回は、自治体が紙のプレミアム付き商品券を電子化した場合の効率化ポイントを、制度・政策環境、運用設計、KPI (重要業績評価指標)管理の観点で整理します。

電子商品券の導入を検討しているなら「モバイル商品券プラットフォーム byGMO」。多くの自治体さまでの導入実績を有しており、具体的な事業化前の検討段階や、構想レベルのご相談につきましても、幅広くお応えいたします。お気軽にご相談ください。

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法制度の整備と行政方針による電子化の推進基盤

地方自治体の業務効率化を後押しする法律や制度は以下のとおりです。

2022年改正

電子帳簿保存法

  • 事前承認が不要に、電磁的記録保存の要件緩和
  • 申請・交付・取引・精算・領収の電子統一が容易に
2024年〜

電子保存義務化

  • 電子で授受した請求・領収の電子保存が義務化
  • 加盟店精算の電子一元化、締め処理の高速化
重点政策

行政のデジタル推進

  • オンライン手続き、データ連携の拡大方針
集約

一般的なデジタル化の効果

  • リアルタイム化、標準化、検索性の向上、処理時間の短縮

工程別効率化メリットの例と運用上の要点

発行・配布(オンライン申請+電子交付)

申請から交付までを主にオンラインで行えば、紙の書類の作成・整理・郵送といった事務作業や再発行対応の削減が可能です。また、本人確認とアクセシビリティを適切に設計すれば、窓口の負荷を抑えつつ、監査への対応もしやすくなります。

効率化メリットの例

  1. 印刷・封入・郵送の固定費削減
  2. 在庫や券番号管理の不要化・簡素化
  3. 再発行の迅速化(残高再付与、トークン再発行)
  4. 交付・通知の自動化(アプリ通知、メール、SMS)

運用の要点

  1. 本人確認の設計:eKYC(オンライン本人確認)、マイナンバーカード活用、窓口確認の併用
  2. アクセシビリティ対策:カード型、QRコードが印刷された紙の引換券を併用して高齢者対応を確保
  3. 監査ログ:申請受付、交付時刻、担当、変更履歴の電子保存

加盟店精算(電子取引ログによる自動化)

電子化により取引データが自動で記録されるため、集計や照合を自動化でき、精算作業が短期間で完了します。また、システムの仕様を統一し銀行APIと連携すれば、入金確認から会計処理までの流れがスムーズになります。

効率化メリットの例

  1. 取引データの自動集計・照合で伝票処理を削減
  2. 締め処理を月次から週次・日次へ短縮
  3. 入金明細の電子化で検索・監査対応を容易化

運用の要点

  1. 本人確認の設計:eKYC(オンライン本人確認)、マイナンバーカード活用、窓口確認の併用
  2. アクセシビリティ対策:カード型、QRコードが印刷された紙の引換券を併用して高齢者対応を確保
  3. 監査ログ:申請受付、交付時刻、担当、変更履歴の電子保存

不正・ミス防止と監査容易化(証跡・アクセス管理)

ワンタイムコードと残高管理で不正を抑え、電子の監査ログでチェック作業を短縮できます。改ざん防止の設計と障害時の代替手段を用意すると、監査と運用の信頼性が高まります。

効率化メリットの例

  1. ワンタイムコード(1回限りの認証コード)や残高管理でコードの使い回し・二重利用を抑止し、不正・偽造リスクを低減
  2. 紙伝票特有の誤記・読み取りミスを抑制
  3. 電子監査ログ(タイムスタンプ、アクセス権管理、検索可能メタデータ)で監査対応の時間を短縮

運用の要点

  1. 電子帳簿保存法で整理されている真実性(改ざん防止)や可視性(検索・閲覧性)の考え方を参考に、証跡の改ざん防止・検索性・参照性を担保
  2. 障害時の代替手段:オフライン承認コード、バックアップ運用、冗長化への対応

住民問い合わせの削減(残高・履歴のセルフサービス化)

住民が自分で残高や利用履歴を確認できる仕組みを用意すると、問い合わせ対応を減らせます。また、導入初期は案内資料やサポート体制を充実させることで、窓口への問い合わせ集中を防げます。

効率化メリットの例

  1. 残高・利用履歴・期限の自己確認により、照会系の問い合わせを継続的に削減
  2. 通知、FAQ、チャットボットで一次解決率(エスカレーションなしで解決する割合)を向上

運用の要点

  1. 導入初期の「使い方」に関する問い合わせ増に備え、説明会の開催、操作動画の公開、紙のガイド配布、オンラインヘルプページの設置など、多様な案内手段を集中的に展開

コスト構造の転換(紙固定費 → システム費・手数料)

紙の固定費からシステム費と取引手数料への置き換えにより、規模が大きくなるほど単位コストを下げやすくなります。アプリ型/QRコード・バーコード型を中心に紙併存期間を短くし、データ標準化と加盟店での採用を進めることで、費用が紙より低くなる時点を早められます。

効率化メリットの例

  1. 印刷、封入、郵送、保管、窓口対応の固定費・人件費を削減
  2. 一定規模以上で総コストが低下しやすい

運用の要点

  1. 費用反転点(費用が逆転する時点)を左右する要因:電子化比率、人口規模、ベンダー従量課金、ICカード初期費用
  2. 費用反転点を早める設計:アプリ型/QRコード・バーコード型+紙併存期間の短縮、データ標準化、加盟店の採用率向上

方式別の適合条件とトレードオフ

本表は、電子商品券の決済・給付などで用いられる「アプリ型/QRコード・バーコード型」と「ICカード型」を、長所と留意点で比較したものです。

方式長所留意点
アプリ型/QRコード・バーコード型・初期費用が低い
・加盟店導入が容易(既存スマホ・タブレット活用)
・データ標準化がしやすい
・スマホ非保有層への代替(紙QR引換券、窓口支援)の設計
・通信障害時のオフライン対応の整備
ICカード型・高齢者対応に強い
・オフライン耐性が高い
・リーダー機器の調達・設置に初期費用
・費用が逆転する時点が遅くなりやすい

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KPI で追うべき指標

効果の見える化に役立つKPI例をご紹介します。

カテゴリKPI(指標例)単位/形式
生産性(業務効率)発行部数あたり職員工数人/万件
コスト印刷・封入・郵送単価円/件
システム利用料・決済手数料円/取引、%
オペレーション(精算)加盟店精算サイクル日次・週次・月次
オペレーション(照合/差異)差異調整件数件/月
サポート(CS)問い合わせ件数件/月
一次解決率
品質/リスク紛失・再発行率
品質/リスク(障害)障害発生件数件/月
平均復旧時間
ガバナンス(監査)監査対応時間人/監査
監査指摘件数
コンプライアンス制度適合電子保存設計の要件充足度

アクションプラン例

データ標準化と連携

  • QRコード/バーコード仕様の統一、API/CSVで会計・金融システムと連携
  • 自動照合率を高め、締め処理を短縮

アクセシビリティ設計

  • ICカード型や紙QR引換券を併用し、電子化比率を早期に向上
  • 窓口の工数・ご意見の発生を抑制

金融機関・会計規程の見直し

  • 銀行API活用、振込スケジュール調整で週次→日次入金へ
  • 会計の締めルールを制度に整合的な日次処理へ移行

監査ログ品質の向上

  • タイムスタンプ、改ざん防止、アクセス権管理、検索可能メタデータを整備
  • 優良帳簿相当の設計で監査時間を短縮

立ち上げ支援と広報

  • 説明会、動画、紙のガイドライン資料、チャットボットを用意
  • 利用履歴・期限の通知を自動化

紙・電子の併用期の課題

導入初期には住民の利便性を考慮し、紙と電子商品券が併用されることがあります。その際の課題と解決策についてまとめました。

課題

運用コスト

併用期間はできるだけ短く設計し、電子化比率を早期に引き上げます。あわせて、アクセシビリティ施策の実装と加盟店採用の加速により、紙よりもコストが下がる時点を前倒しします。

課題

システム障害・通信不通

オフライン承認コードの導入、バックアップ運用の整備、冗長化への対応を事前に進めます。また、障害時に行った代替処理の内容と根拠を監査ログに確実に記録します。

課題

データ非統一による自動化率低下

方式統一と標準仕様の順守をベンダー契約条件に盛り込み、データ品質を担保します。

まとめ

電子化の効果を最大化するには、アプリ型/QRコード・バーコード型を基本とし、ICカードは補完的に活用するのが有効です。あわせて、データ標準化と金融機関連携を進め、監査ログの品質向上と利用者オンボーディングの設計にも重点を置くことが重要です。

なお、効果の発現は運用設計(方式選択、アクセシビリティ、加盟店参加率、データ標準化、金融機関連携、監査ログ品質)に大きく依存するため、KPIで継続的に管理・改善していきましょう。

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