本記事では、デジタル商品券を一度購入・利用して終わるのではなく、利用者登録などを通じて、次回施策への案内や利用実績の把握などにつなげられる状態を「会員化」としています。
ただし、会員化そのものが目的ではありません。
短期間の消費喚起を目的とする場合と、継続的な施策や効果測定まで見据える場合では、必要な登録情報や仕組みが異なります。商品券事業を継続して実施したい、利用状況を次年度の施策改善に活かしたいといった場合には、会員化も選択肢の1つになります。
デジタル商品券における「会員化」とは
本記事でいう会員化とは、利用者が一度限りの商品券購入・利用で終わるのではなく、継続して地域の施策に参加できる状態を整える考え方です。
重要なのは、「会員化=利用者の囲い込み」と考えないことです。
登録者が増えても、商品券を購入しない、利用されない、地域内の消費につながらないのであれば、施策の成果とはいえません。
会員化は、地域経済施策を継続的に実施・改善していくための基盤の1つとして考えます。
具体的には、次のような仕組みが考えられます。
- 商品券の購入・利用に必要な利用者登録
- 次回の商品券販売や地域イベントの案内
- 地域通貨やポイント施策との連携
- 利用実績を踏まえた次回施策の改善
- 加盟店の継続利用を促す施策

デジタル商品券で会員化を検討したいケース
すべての商品券事業で、同じように会員化する必要があるわけではありません。
施策の目的によって、必要な仕組みは変わります。
| 会員化を検討しやすいケース | 会員化の必要性を個別に検討するケース |
|---|---|
| 商品券事業を継続して実施する | 今回限りの短期施策として実施する |
| 次回施策の案内を行いたい | 継続的な案内を予定していない |
| 利用状況を次年度の改善に活かしたい | 利用総額など必要な集計に目的を絞る |
| 地域通貨やポイント施策への展開を検討している | 将来的なサービス展開を想定していない |
| 利用者単位で申込や購入状況を管理したい | 利用者単位での継続管理を必要としない |
まず、「なぜ会員化するのか」を整理し、会員化の必要性も含めて、登録情報や仕組みを決めることが重要です。
なぜデジタル商品券で会員化を考えるのか
紙の商品券では、実施するたびに業務が発生する
紙のプレミアム付商品券は、地域内の消費を促す方法として広く利用されています。一方で、実施するたびにさまざまな業務が発生します。
- 商品券の印刷・配送・保管
- 販売窓口の準備
- 加盟店での商品券回収
- 枚数の確認
- 換金申請
- 利用実績の集計
一度きりの消費喚起で終わらせない
従来の商品券事業では、「商品券を販売して、期間内に利用してもらう」ことが1つの区切りになっていました。
しかし、地域内消費の促進や商店街の活性化を考えるのであれば、その1回だけで終わらせる必要はありません。
使える店舗、購入しやすさ、利用期限、告知、加盟店の協力なども含めて設計したうえで、次のような継続施策を検討します。
- 次回の商品券販売を案内する
- 地域イベントや商店街のキャンペーンと連動する
- 利用状況から次年度の商品券設計を見直す
- 地域通貨やポイント施策へ発展させる
デジタル商品券の導入・会員化で何が変わる?
デジタル商品券の導入や会員化によって変わることを、利用者・加盟店・自治体や事務局の3つの視点で整理します。
| 対象 | デジタル商品券の導入・会員化で期待できること | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 利用者 | 残高や利用状況を確認しやすくなる、次回施策の案内を受け取りやすくなる | 登録時の負担、通知の頻度 |
| 加盟店 | 紙券の回収・集計・換金業務を減らせる | 決済操作や管理画面など新しい運用 |
| 自治体・事務局 | 購入・利用状況を集計し、次年度施策に活かしやすくなる | 個人情報、権限管理、監査対応 |
単に紙の商品券をデジタルに置き換えるのではなく、それぞれの立場で「何が減り、何が新しく発生するのか」を整理しておくことがポイントです。
自治体が会員化を検討するときの基本ポイント
1. 何のために会員化するのかを決める
目的によって、必要な情報や運用は変わります。
| 目的 | 会員化によって考えられること |
|---|---|
| 地域内消費の促進 | 次回施策や利用機会を継続して案内する |
| 加盟店支援 | 利用状況を確認し、施策を改善する |
| 業務効率化 | 購入・利用・精算データを管理する |
| 利用者の利便性向上 | 申込状況や残高、利用履歴を確認しやすくする |
| 効果測定 | 商品券事業の実績を次年度施策に活かす |
「登録者を増やす」ことではなく、登録によってどの業務や施策判断を改善したいのかまで決めておくことが重要です。
2. デジタルを利用しにくい人への参加方法を考える
自治体の施策では、スマートフォンの操作に慣れていない人も参加できるよう、利用環境に応じた支援方法を検討することが重要です。モバイル商品券プラットフォーム byGMOでは、スマートフォンを使わずに現金チャージ・決済できる仕組みにも対応しています。

対象者に応じて、次のような支援方法を検討します。
「デジタルか、紙か」という二者択一ではなく、どのように参加機会を確保するかという視点で考えることが大切です。実際に北海道釧路市では、スマートフォンが不要な「ハガキ型」と「アプリ型」の2方式が採用されています。

- 窓口での申込・登録支援
- 電話による問い合わせ対応
- 紙の利用ガイド
- 家族などによる操作支援
- 多言語ややさしい日本語による案内
- 店舗での利用サポート
3. 登録情報は必要なものに絞る
会員化すると、氏名、電話番号、メールアドレス、居住地域、購入履歴、利用履歴などを扱う場合があります。
取得する情報については、あらかじめ次の点を整理しておきます。
「取得できる情報を集める」のではなく、施策に必要な情報を決めるという考え方が重要です。
- 何のために取得するのか
- 本当にその情報が必要なのか
- どのように利用目的を説明するのか
- いつまで保存するのか
- 誰が閲覧できるのか
- 委託先とどのように役割分担するのか
4. 加盟店の実際の運用まで考える
紙の商品券では、加盟店側で商品券の保管や集計、換金申請などが必要です。
デジタル化によってこうした業務を減らせる一方で、新しい店頭オペレーションが発生する場合があります。
システム上できるかだけではなく、実際の店舗で無理なく運用できるかまで確認することが重要です。
- 店頭でどのように決済するか
- 誰が決済完了を確認するか
- 取消が必要な場合にどう対応するか
- 利用実績をどのように確認するか
- 加盟店からの問い合わせを誰が受けるか
5. 次年度の改善に使える数字を決める
デジタル商品券のメリットの1つが、施策の実績を把握しやすくなることです。
たとえば、次のような指標があります。
どの数字をみるかを事前に決めておくことで、「実施して終わり」ではなく、次年度の改善につなげやすくなります。
- 登録者数
- 購入者数・購入率
- 利用率
- 利用回数
- 利用店舗数
- 業種別・エリア別の利用状況
- 未利用残高
- 問い合わせ件数
- 次回施策への再参加状況
KPIは登録者数だけで評価しない
会員化では、登録者数がわかりやすい指標として使われます。
ただし、登録しただけで施策の成果が出たとはいえません。
利用者の行動を段階ごとに分けて確認すると、どこに課題があるかを把握しやすくなります。商品券の電子化による自治体業務の効率化とKPIについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

| 段階 | 確認したいKPI |
|---|---|
| 認知 | Web閲覧数、説明会参加数など |
| 登録 | 登録者数、登録完了率、登録離脱率 |
| 購入 | 購入者数、購入率、購入金額 |
| 利用 | 利用率、利用回数、利用店舗数、消化率 |
| 加盟店 | 加盟店数、利用が発生した店舗数、業種別利用額 |
| 運用 | 問い合わせ件数、精算処理時間、障害件数 |
| 継続 | 次回参加率、通知許諾率、再利用状況 |
財政課などへの説明でも、「何人登録したか」だけではなく、どの程度利用されたか、事務負担がどのように変わったか、次年度の改善につながる情報を得られたかまで確認すると、施策を評価しやすくなります。
会員化を前提とした業務フロー
1. 企画・制度設計
まず、事業の基本条件を整理します。
財政、会計、情報政策、個人情報保護の担当部署や、商工会・商店街などとの調整が必要な事項も、この段階で整理しておくと進めやすくなります。
- 事業目的
- 対象者
- 予算
- 発行額
- プレミアム率
- 実施期間
- 加盟店条件
- 利用制限
- 登録する情報
- 本人確認の要否
- 利用規約や同意事項
2. 利用者・加盟店の募集
利用者側では、登録方法や購入方法をできるだけわかりやすくします。
加盟店側では、次のような情報や運用を確認します。
- 店舗情報
- 振込先
- 利用条件
- 精算方法
- 店頭での操作方法
- 問い合わせ方法
3. 販売・利用
販売開始直後は、アクセスや問い合わせが集中する場合があります。
利用時には、利用者が迷わず支払え、加盟店側も決済完了を確認できる状態まで想定しておくことが重要です。
事前に、次のような対応を決めておきます。
- FAQ
- 問い合わせ窓口
- 庁内・事務局の連絡フロー
- 障害発生時の案内方法
4. 精算・効果測定
商品券の利用期間が終わったあとも、加盟店への精算や実績集計などの業務が残ります。
効果測定では、次のような情報を確認します。
実績データと現場からの声をあわせて確認することで、次年度施策の改善点を整理しやすくなります。
- 購入状況
- 利用状況
- 加盟店ごとの利用状況
- 未利用残高
- 問い合わせ内容
- 加盟店や利用者から寄せられたご意見・ご要望
法令・監査・セキュリティで確認しておきたいこと
制度設計の段階で、次のような事項を整理しておくことが重要です。
実際の制度設計では、必要に応じて法務や関係部署、専門家などに確認しながら進めます。
- 発行主体
- 利用できる店舗や地域
- 有効期限
- 未使用残高の扱い
- 払戻しの有無
- 資金の管理方法
- 委託先との役割分担
- 利用規約
デジタル商品券では、取引履歴や精算明細などの電子的な記録が、事業実績や精算内容を確認するうえで重要になります。
「あとから説明できる状態になっているか」という視点で、保存するデータや運用方法を整理しておきましょう。
- 決済ログ
- 利用実績
- 加盟店別の精算明細
- 入金記録
- 取消・返金記録
- 問い合わせ対応記録
セキュリティ面では、利用者の認証から管理画面の運用、障害発生時の対応まで、あらかじめ確認しておく必要があります。モバイル商品券プラットフォーム byGMOでは、デジタル庁「デジタル認証アプリ」を活用したマイナンバーカード認証機能も提供しています。

- 利用者認証の方法(SMS・メールなど)
- 重複申込への対策の要否・方法
- 管理画面の権限設定・管理方法
- 操作ログの記録・確認方法
- 取消処理のルール
- 異常取引への対応方法
- 障害時の連絡体制
当社が支援できること
モバイル商品券プラットフォーム byGMOは、自治体や商工団体などが実施するデジタル商品券事業において、商品券の発行から販売、利用、精算、集計までを一体で支援するサービスです。
商品券事業では、利用者が商品券を購入・利用できることだけでなく、事務局や加盟店を含めた一連の業務を設計する必要があります。
当社では、商品券事業の目的や規模、運用方法に合わせて、次のような観点から導入・運用を支援しています。
- 商品券の発行・販売方法
- 利用者の登録・購入方法
- 店舗での利用方法
- 加盟店の運用方法
- 精算方法
- 利用実績の集計
- 事務局の管理方法
\自治体が発行する紙のクーポンを電子化できるサービス /
導入前に確認したいチェックリスト
デジタル商品券の会員化を検討するときは、次の項目を確認してみてください。
「どの機能があるか」だけではなく、誰がどの業務を担当し、どの情報を次の判断に使うのかまで整理しておくことがポイントです。
- 施策の目的は明確か
- なぜ会員化するのか説明できるか
- 登録情報は必要最小限になっているか
- 利用目的や同意方法は決まっているか
- データの保存期間や取り扱いを整理しているか
- デジタルを利用しにくい人への支援策はあるか
- 加盟店の店頭オペレーションを確認しているか
- 精算データや証憑の保存方法は決まっているか
- 取消・返金・障害時の対応方法は決まっているか
- 登録者数以外のKPIを設定しているか
- 次年度の改善まで想定しているか
- 庁内の関係部署との協議事項を整理しているか
まとめ|会員化は、商品券事業を継続して改善するための基盤
デジタル商品券の会員化で大切なのは、登録者数そのものではありません。
商品券事業を単発の施策で終わらせず、「実施する→購入・利用状況を確認する→課題を把握する→次回の制度や運用を改善する」というサイクルにつなげることが重要です。
このサイクルを続けるためには、システムの機能だけではなく、公平性、個人情報、加盟店運用、精算、監査、KPIまで含めて制度を設計する必要があります。
モバイル商品券プラットフォーム byGMOでは、デジタル商品券の発行・販売・利用・精算・集計までを一体で支援しています。
サービスの仕組みや導入時の確認ポイントについては、資料でも詳しくご紹介しています。
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