商店街のデジタル化・DXとは?キャッシュレスだけで終わらせない進め方とデジタル商品券活用

商店街のデジタル化とは?デジタル商品券活用 | キャッシュレスだけで終わらせない進め方

商店街のデジタル化・DXというと、キャッシュレス決済の導入をイメージする方も多いかもしれません。

しかし、商店街のデジタル化は、支払い方法を現金からキャッシュレスに変えることだけではありません。

デジタル商品券や地域通貨、クーポンなどを活用した来街・消費促進に加え、加盟店募集、利用実績の集計、精算、効果測定といった運営業務まで含めて見直す取り組みです。

特に自治体や商工会、商店街振興組合などが主体となる場合は、次の3つを分けずに考えることが重要です。

  • 利用者にとって使いやすいか
  • 加盟店や事務局が無理なく運用できるか
  • 施策の結果をデータで確認できるか

本記事では、「商店街をデジタル化したい」「キャッシュレスを導入したい」という段階から一歩進んで、次の3点を整理します。

  • 商店街DXで何をデジタル化するのか
  • キャッシュレス決済とデジタル商品券をどう使い分けるのか
  • 導入時に何を判断すべきか

商店街のデジタル化・DXとは

商店街のデジタル化とは、決済や販促だけでなく、商店街運営や地域施策に関わる業務をデジタル技術によって効率化・可視化することです。

大きく分けると、4つの領域があります。

領域主な取り組み目的
決済・利用キャッシュレス決済、デジタル商品券、地域通貨支払いの利便性向上、地域内消費の促進
集客・販促クーポン、ポイント、スタンプラリー、情報配信来街促進、回遊促進、再利用促進
運営業務加盟店募集、申請、精算、問い合わせ管理事務局・加盟店の負担軽減
データ活用利用額、利用店舗、利用地域などの集計効果測定、次回施策の改善

中小企業庁でも、商店街におけるデジタルツールを活用した取り組みとして、キャッシュレス決済・地域通貨だけでなく、オンライン販売、販売促進・回遊促進などの事例を紹介しています。

つまり、キャッシュレス決済は商店街DXの「1つの手段」です。

「キャッシュレスを導入するか」ではなく、「商店街や地域が抱えている課題を、どの仕組みで解決するか」から考えることが重要です。

なぜ商店街でキャッシュレス化が進められているのか

キャッシュレス決済は、すでに特別な支払い方法ではなくなりつつあります。

経済産業省によると、2025年のキャッシュレス決済比率は58.0%となり、2030年までに65%とする中間目標も示されています。

利用者にとって支払い方法の選択肢が増えることは、店舗や商店街の利便性を考えるうえでも重要です。

一方、商店街や自治体の施策として考える場合、「キャッシュレスに対応できること」だけでは十分とは限りません。

たとえば地域の消費喚起を目的とする場合は、次のような要件が加わります。

  • 利用できる地域や店舗を限定したい
  • プレミアム分を付与したい
  • 特定の対象者へ給付したい
  • どの店舗でどのくらい利用されたか確認したい
  • 加盟店ごとの利用額を把握して精算したい

ここが、一般的なキャッシュレス決済の導入と、デジタル商品券や地域通貨を活用した地域施策との大きな違いです。

自治体や地域施策におけるキャッシュレス化については、自治体キャッシュレスのポイント整理|運用負担・決済多様化・管理効率化まででも詳しく解説しています。

キャッシュレス決済だけで商店街DXが完結しない理由

一般的なキャッシュレス決済は、店舗と利用者の「支払い」を便利にする仕組みです。

一方、商店街や自治体が実施する事業では、その前後にも多くの業務があります。

たとえばプレミアム付商品券事業であれば、次の7つまでが一連の事業です。

  1. 制度を設計する
  2. 加盟店を募集する
  3. 利用者へ販売・付与する
  4. 店舗で利用してもらう
  5. 加盟店ごとの利用額を確認する
  6. 精算する
  7. 事業結果を集計する

そのため、「どの決済手段を使うか」だけでなく、「事業全体をどう運営するか」を考える必要があります。

特に、紙の商品券をデジタル化する場合は、利用者側の利便性だけでなく、紙券の印刷、販売、回収、枚数確認、集計、精算といった業務をどこまで見直せるかが重要です。

商店街DXでは、決済のデジタル化と業務のデジタル化を分けずに考えましょう。

商店街DXで最初に決めたい5つのこと

システムを比較する前に、まず事業として何を実現したいのかを整理します。

1. 何を目的にするのか

同じデジタル商品券でも、目的によって制度設計は変わります。

  • 商店街への来街を増やしたい
  • 地域内での消費を増やしたい
  • 生活支援・給付を行いたい
  • 観光客の消費を促したい
  • 紙の商品券運用を効率化したい
  • 地域の利用データを把握したい

最初に目的を決めることで、対象者、加盟店、利用期間、予算、効果測定の方法を決めやすくなります。

2. 誰が、どこで使えるようにするのか

次に決めるのが、対象者と利用範囲です。

市民だけを対象にするのか、在勤・在学者や観光客まで広げるのか。

商店街内の店舗に限定するのか、市内全域を対象にするのか。

大型店やチェーン店を含めるかどうかによっても、地域への経済効果や加盟店募集の方法は変わります。

3. 加盟店にどの程度の負担が発生するのか

商店街の施策では、加盟店が参加しやすいことも重要です。

特に小規模店舗では、次のような日々の運用が参加判断に影響します。

  • 新しい端末が必要か
  • レジでどのような操作が必要か
  • 決済完了をどう確認するか
  • 売上をどこで確認するか
  • いつ入金されるか
  • トラブル時に誰へ問い合わせるか

機能だけでなく、店舗で実際に行う作業まで確認しておきましょう。

4. 事務局の業務をどこまでデジタル化するのか

利用者の決済だけをデジタル化しても、加盟店登録や集計、精算を手作業で行っていては、事務局の負担が残ります。

確認したいのは、次のような業務です。

  • 加盟店登録・管理
  • 利用実績の確認
  • 加盟店別の集計
  • 精算に必要なデータの確認
  • 取消・返金の確認
  • 問い合わせ対応
  • 事業終了後の実績集計

現在の業務フローを書き出し、「デジタル化後に何がなくなり、何が残るのか」を確認すると比較しやすくなります。

商品券を電子化した場合の業務やKPIについては、 商品券の電子化は自治体業務をどう効率化するのか?制度・運用の要点とKPIで解説でも整理しています。

5. どのデータを残し、次の施策に使うのか

商店街DXのメリットの1つが、施策の結果をデータで確認しやすくなることです。

たとえば、次のような項目を把握できます。

  • 利用金額
  • 利用件数
  • 利用店舗数
  • 加盟店数
  • 利用時期
  • 利用地域
  • 未利用残高

これらを把握できれば、「商品券を発行して終わり」ではなく、次回の施策改善につなげやすくなります。

商店街DXを継続的な取り組みにするのであれば、システム導入時から「あとで何を確認したいか」を決めておくことが大切です。

デジタル商品券が向いている商店街・地域施策

キャッシュレス決済とデジタル商品券は、どちらか一方を選ぶものではありません。

目的によって使い分けます。

やりたいこと検討しやすい仕組み
店舗の支払い方法を増やしたい一般的なキャッシュレス決済
商店街内で消費してもらいたいデジタル商品券・地域通貨
プレミアム分を付けて販売したいプレミアム付デジタル商品券
特定の対象者へ支援したいデジタル商品券・給付
地域内で継続的に利用してもらいたい地域通貨・地域ポイント
利用店舗や利用額を施策単位で把握したいデジタル商品券・地域通貨など

単純に店舗のキャッシュレス対応を進めたいのであれば、一般的な決済サービスで十分な場合もあります。

一方、「商店街内で使ってほしい」「地域の店舗を支援したい」「プレミアム付商品券を発行したい」といった目的がある場合は、利用範囲や対象者を設計できる仕組みが必要になります。

プレミアム付商品券を検討している場合は、 紙・電子・物理カードの違いと選び方もあわせて確認しておくと、利用者、加盟店、事務局それぞれの運用を比較しやすくなります。

また、単発の商品券ではなく、地域内で継続的に利用される仕組みを検討する場合は、地域通貨という選択肢もあります。 デジタル地域通貨を導入する自治体一覧・成功事例で、各地域の取り組みを紹介しています。

デジタル商品券を導入すると何が変わるのか

紙の商品券には、スマートフォンを使わず利用できるわかりやすさがあります。

一方で、事業規模が大きくなると、印刷、販売、回収、保管、枚数確認、集計、換金といった業務が発生します。

デジタル化することで、こうした業務の一部を取引データを中心とした運用へ置き換えられます。

たとえば、利用実績をデータで確認できれば、使用済みの商品券を店舗から回収し、1枚ずつ数えて集計するといった作業を減らせる可能性があります。

さらに、利用店舗や利用額などを確認できれば、事業終了後の効果測定にも活用できます。

ただし、デジタル化すれば運営業務がすべてなくなるわけではありません。

利用者への操作案内、加盟店への説明、問い合わせ対応など、新たに必要になる業務もあります。

紙からデジタルへ置き換えるだけでなく、事業全体の業務フローを見直すことが重要です。

利用者だけでなく加盟店が使いやすい仕組みにする

デジタル商品券を利用するのは住民や来街者ですが、日々の運用を担う加盟店への配慮も欠かせません。

特に商店街では、店舗の規模やデジタル機器への慣れに差があります。

加盟店募集の段階から、次の内容を具体的に伝えておくと、運用開始後の混乱を抑えやすくなります。

  • 申込方法と必要書類
  • 店頭での利用方法
  • QRコードなどの掲示方法
  • 決済完了の確認方法
  • 金額を間違えた場合の対応
  • 取消・返金方法
  • 売上明細の確認方法
  • 精算締日と入金日
  • 問い合わせ先

制度の説明だけでなく、「店舗では具体的に何をするのか」が伝わる状態にしておくことが重要です。

説明会、簡易マニュアル、テスト決済などを組み合わせ、加盟店が実際の運用をイメージできるようにしましょう。

デジタルに不慣れな方への配慮も制度設計に含める

商店街のデジタル化では、効率化だけでなく、利用機会への配慮も必要です。

スマートフォンを持っていない方や、デジタル操作に不安を感じる方が利用することも想定しておきます。

たとえば、次のような方法があります。

  • 窓口での申込・操作支援
  • 電話問い合わせ窓口
  • 操作説明会
  • 紙の案内資料
  • 家族などによる操作補助のルール整理
  • 店舗での案内方法の統一
  • 必要に応じた紙の商品券との併用検討

デジタル化率だけを目標にするのではなく、誰が利用する施策なのかを踏まえて支援方法を設計することが大切です。

精算・実績管理まで含めて考える

自治体や商工会、商店街振興組合が事業主体になる場合、利用開始後の精算も重要な業務です。

事前に整理しておきたいのは、次のような項目です。

  • 誰が精算を行うか
  • 加盟店への入金頻度
  • 精算締日
  • 振込手数料の扱い
  • 取消・返金の扱い
  • 加盟店別利用額の確認方法
  • 精算データの確認・承認方法
  • 事業終了後に残すデータ

紙の商品券では、店舗から使用済み券を回収し、枚数を確認して換金する運用があります。

デジタル商品券では取引データをもとに利用実績を確認できるため、こうした回収・集計業務を見直せる可能性があります。

一方で、データがあるだけで精算業務が完了するわけではありません。誰が数字を確認し、どのデータをもとに精算し、どのような形で実績を残すのかまで決めておきましょう。

補助金や支援制度を使う場合も「事業全体」で考える

商店街のデジタル化では、国や自治体などの補助制度を活用できる場合があります。

補助制度を確認するときは、システム費用だけでなく、次の項目まで確認します。

  • 申請主体
  • 対象となる経費
  • 広報費
  • 加盟店募集や説明会にかかる費用
  • サポート・問い合わせ対応費
  • 事務局運営費
  • 実績報告に必要な資料
  • 効果測定の方法

商店街や商工団体が確認しておきたい制度については、 商工会議所・商工会・商店街が使いやすい補助金まとめでも紹介しています。

補助制度は年度や公募時期によって条件が変わるため、実際に申請する際は、各制度の最新の公募要領を確認してください。

地域施策のデジタル化を支援

GMOデジタルラボでは、モバイル商品券プラットフォーム byGMOを通じて、プレミアム付商品券や地域通貨、地域ポイント、給付事業など、地域施策のデジタル化を支援しています。

商品券をデジタルで発行するだけでなく、事業の目的や対象者、加盟店の条件などに合わせて、制度設計から運用までを整理しながら進めることができます。

  • プレミアム付商品券
  • 地域通貨・地域ポイント
  • QRコードを利用した決済
  • 自治体向け管理
  • 加盟店管理
  • 利用状況の確認
  • 対象者を限定した事業
  • 給付事業

実際に、福岡市・みなと銀座商店街振興組合さまが発行するプレミアム付電子商品券「カモメPay」にも、モバイル商品券プラットフォーム byGMOが導入されています。商店街が主体となってデジタル商品券を運営する事例として参考にできます。

商店街のデジタル化を検討するときは、「キャッシュレス決済を導入できるか」だけでなく、制度設計から加盟店管理、利用、精算、データ活用までを一連の事業として考えることが重要です。

モバイル商品券プラットフォーム byGMOの詳しい機能や導入イメージは、資料でご確認いただけます。

本事例のような仕組みの導入をご検討中のご担当者様へ。まずは資料で導入イメージを確認

使い方・導入の流れ・セキュリティまで、検討に必要な情報をまとめた紹介資料をお届けします。

システム選定では「機能の多さ」より運用全体を見る

商店街DXのシステムを比較するときは、機能数や料金だけで判断しないことが大切です。

決裁時には、少なくとも次の観点を確認しておきましょう。

比較する観点確認する内容
施策との適合商品券、地域通貨、給付など実施したい制度に対応できるか
利用者申込から利用まで迷いにくいか
加盟店店頭操作や売上確認が複雑ではないか
事務局加盟店管理、集計、精算を運用しやすいか
データ事業評価に必要なデータを確認できるか
サポート利用者・加盟店への支援体制を組めるか
セキュリティ個人情報や管理権限を適切に扱えるか
実績報告必要な集計やデータを準備できるか

重要なのは、システム単体の価格ではなく、「事業全体でどのくらいの運用が必要になるか」です。

安価な仕組みを選んでも、加盟店登録、問い合わせ、集計、精算に多くの人手が必要になれば、結果として事務局の負担が大きくなる可能性があります。

システム費だけでなく、事業全体の運用コストまで含めて比較しましょう。

セキュリティ・不正対策も運用とセットで考える

デジタル化によって取引履歴を確認しやすくなる一方、なりすましや重複購入、架空取引、誤操作などへの備えも必要です。

検討しておきたい項目には、次のようなものがあります。

  • 購入上限
  • 対象者の確認方法
  • 加盟店審査
  • 利用対象外商品の設定
  • 管理者権限
  • 操作履歴
  • 異常な取引を確認する方法
  • 取消・返金ルール
  • 問い合わせ時の本人確認
  • 個人情報の取り扱い
  • トラブル発生時の対応フロー

大切なのは、「システムにセキュリティ機能があるか」だけで判断しないことです。

事務局、自治体、商工団体、加盟店、システム提供事業者のうち、誰がどこまで対応するのかを事前に整理しておきましょう。

導入前に整理しておきたい業務フロー

商店街のデジタル化は、次の順番で整理すると進めやすくなります。

1. 目的を決める

地域内消費の喚起、商店街支援、生活支援、観光消費など、事業の目的を決めます。

2. 制度を設計する

対象者、利用店舗、販売方法、購入上限、利用期間、精算方法などを決めます。

3. システムを選ぶ

制度に必要な機能と、実際の運用体制をもとに比較します。

4. 加盟店を募集する

募集条件や申込方法を決め、店舗向けの説明会やマニュアルを準備します。

5. 利用者へ案内する

Webサイト、広報紙、SNS、チラシ、店舗掲示物などを使って、申込・購入・利用方法を伝えます。

6. 運用・精算する

問い合わせに対応しながら利用実績を確認し、加盟店への精算を行います。

7. 結果を検証する

利用額や利用店舗数などを確認し、次回の施策改善につなげます。

商店街DXでは、システム導入をゴールにせず、「運用開始後まで設計する」ことがポイントです。

まとめ:商店街DXは「決済」ではなく地域施策全体で考える

商店街のデジタル化・DXは、キャッシュレス決済を導入するだけの取り組みではありません。

商店街や地域が抱える課題に合わせて、次のような仕組みを組み合わせることが重要です。

  • 決済を便利にする
  • 地域内での消費を促す
  • 加盟店の参加を増やす
  • 事務局業務を効率化する
  • 利用状況をデータで把握する

特にプレミアム付商品券や地域通貨などを実施する場合は、「何で支払うか」だけでなく、対象者、加盟店、利用範囲、精算、データ活用までを1つの事業として設計する必要があります。

モバイル商品券プラットフォーム byGMOでは、デジタル商品券や地域通貨をはじめとした地域施策のデジタル化を支援しています。

「商店街をデジタル化したいが、どこから考えればよいかわからない」「紙の商品券からデジタルへの移行を検討したい」という場合は、制度や現在の運用を整理するところからご相談いただけます。

\ 制度設計や加盟店運用から相談できます /

本事例のような仕組みの導入をご検討中のご担当者様へ。まずは資料で導入イメージを確認

使い方・導入の流れ・セキュリティまで、検討に必要な情報をまとめた紹介資料をお届けします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!